第2回 神戸賞 大賞受賞 記念講演会

岡山芳泉高校OB、岡山大学工学部OBで特殊ペプチドの発明・ご研究で世界的に有名な菅 裕明博士が地元岡山でご講演されます。
菅 裕明博士は、誰も挑んだことのない独創的な研究が高く評価され、この度「第2回 神戸賞 大賞」を受賞されました。
2023年にはウルフ賞化学部門賞を、昨年には日本学士院賞を受賞されています。
ぜひこの機会に菅博士のお話を聞いて、将来すすむ道の指標にしてください。
ご講演後には「サイエンスカフェ」として菅博士と直接お話できる場を設定します。
ご研究についてもっと深掘りして聞いてみたい方、自身の探究や進路についての悩みを相談してみたい方など、是非ご参加ください。
(ただし、申込多数の場合は抽選となります。)

参加申し込みはこちら

菅 裕明 氏写真
第2回 神戸賞 大賞受賞 東京大学大学院 理学研究科 教授
菅 裕明 氏(SUGA HIROAKI)
神戸賞 大賞受賞研究題目
特殊ペプチド創薬の開拓とイノベーション
1981年
岡山県立岡山芳泉高等学校卒業
1986年
岡山大学工学部工業化学科卒業
1989年
岡山大学大学院工学研究科修士課程修了
1994年
米国マサチューセッツ工科大学化学科修了、Ph.D.
米国マサチューセッツ工科大学化学科 博士研究員
米国マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学部 博士研究員
1997年
米国ニューヨーク州立バッファロー大学化学科 助教授
2000年
米国ニューヨーク州立バッファロー大学生物科学科、微生物学科兼任
2002年
米国ニューヨーク州立バッファロー大学化学科 准教授(テニュア)
2003年
東京大学先端科学技術研究センター 助教授(現准教授職)
2005年
東京大学先端科学技術研究センター 教授
2010年
東京大学大学院理学系研究科化学専攻 教授(現職)
2018年
岡山大学エグゼクティブ・アドバイザー
2022年
内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員
2023年
ウルフ賞化学部門賞受賞
2024年
日本学士院賞受賞
2025年
第2回 神戸賞 大賞受賞

菅 裕明(すが ひろあき)博士は、東京大学大学院 理学系研究科の教授であり、ケミカルバイオロジー、特殊ペプチド創薬の第一人者です。
ペプチドはアミノ酸が2個から数10個結合した小さなタンパク質で、体内ではホルモンや神経伝達物質として様々な働きをしており、中にはペプチド医薬品として利用されているものもあります。
現在使われている多くの医薬品は、分子量、サイズの小さい医薬品で、化学合成しやすく安価な反面、副作用が目立つという短所がありますが、ペプチド医薬品はアミノ酸がベースになっているため、副作用が少ないという長所があります。
しかし、胃酸のような消化酵素ですぐ分解されやすいため限界があり、より安定で持続性が高く、薬効性が高いペプチドが求められています。
菅博士は、天然にはない人工的なアミノ酸をもつ、分解されにくい特殊なペプチドを何種類も合成し、その中から医薬品の候補になる物質を見つけ出す、という、通常なら膨大な時間がかかる工程を、まず細胞がもつタンパク質合成機能を利用して短時間で合成できる人工酵素フレキシザイム、遺伝暗号リプログラミング技術を研究、開発しました。 フレキシザイムは天然に存在する酵素リボザイムとは異なり、多種多様な、人工のアミノ酸を扱うことができます。
これを遺伝暗号リプログラミング技術と組み合わせることで、特殊な化学構造のペプチドを、複雑な化学合成のステップを最小限にし(もしくは、化学合成できないものも含めて)、鋳型mRNAと細胞抽出液を利用して合成できるようにしました。
また、得られた様々な種類のペプチドから薬効成分となるものを短時間で見つけ出すために、「RaPID システム」を開発し、これにより1兆種類を超える特殊ペプチドの中から、疾患原因タンパク質に結合力の高い、薬剤候補となるペプチド分子を、高い成功率で、かつ短時間で探索できるようにしました。
合成から薬剤探索までの一気通貫した開発技術は、2006年に菅博士が創業した「ペプチドリーム社」により、製薬企業を中心に共同研究、サブライセンスされ、各企業で技術が活用、応用されています。
独創性の高さはいうまでもなく、また、他の分野にも応用可能な優れたイノベーションといえます。

菅裕明博士の研究をさらに知りたい方は、こちらをご覧ください。

主催:公益財団法人 中谷財団
後援:岡山大学・岡山県教育委員会