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2024年06月07日

お知らせ

「中谷財団設立40周年記念式典」および「第1回神戸賞授賞式」を開催いたしました


 中谷財団は6月1日に、神戸ポートピアホテル ポートピアホールにて「中谷財団設立40周年記念式典」および「第1回神戸賞授賞式」を開催いたしました。
 1984年4月、東亞医用電子(現シスメックス)株式会社の創業者・中谷太郎が「財団法人 中谷電子計測技術振興財団」を設立して以来40年の長きにわたり、ご支援を賜った皆様に感謝を示し、決意を新たにする1日となりました。あわせて、40周年を機に創設した新たな学術賞「神戸賞」の第1回授賞式も執り行いました。



 第1部「中谷財団設立40周年記念式典」では、代表理事の家次恒の挨拶に続き、斎藤元彦兵庫県知事、今西正男神戸市副市長、川崎博也神戸商工会議所会頭、藤澤正人神戸大学学長にご来賓を代表してご祝辞を賜りました。


斎藤兵庫県知事
今西神戸市副市長
川崎神戸商工会議所会頭
藤澤神戸大学学長

 兵庫県および神戸市の官・産・学を代表する上記の方々からは、研究者への表彰と幅広い助成を行っている財団への感謝と期待が述べられました。
 とりわけ、大学院生や学部生、さらには小中高校生までの若い世代へと拡大した助成事業に関しては「これからの社会の中心となる若者は兵庫県および日本の宝。そのような方々を助成事業で支援する取り組みを続けていく財団の意向に賛同いたします」(斎藤知事)、「教育に携わる者として、若い世代にまで支援の裾野を広げていることに敬意と感謝を表します」(藤澤学長)など、官・産・学それぞれのお立場から事業の意義や重要性を強調する賛辞を賜りました。
 この後、これまで中谷賞や助成事業審査委員、評議員として中谷財団の発展に尽力いただいた方々に感謝状・記念品を贈呈する功労者表彰を経て第1部は終了しました。

 第2部の「第1回神戸賞授賞式」は、日本ジャズ発祥の地である神戸にちなみ、ジャズトランペット奏者MITCHさんによるジャズのスタンダードナンバー『ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET』の生演奏でオープニング。厳かな雰囲気の1部とはがらりと印象が変わり、きらびやかな演出で新しい学術賞の開幕を彩りました。



 家次代表理事による、「日本を元気にする」ことを理念に「独創に光を。」をスローガンとした神戸賞の創設メッセージに続いて、第1回神戸賞大賞に選ばれた東京大学大学院薬学系研究科、同医学系研究科教授の浦野泰照氏が登壇。トロフィーと表彰盾、賞金5000万円の目録が授与されました。「独創的な研究で誰も歩んだことのない未知の領域を、まるで暗闇に光を照らすかのように進む“照らす人”」をモチーフとしたユニークなトロフィーのプレゼンターは、神戸賞アンバサダーのタレント 山之内すずさんに務めていただきました。



 神戸賞審査委員長である筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長・教授の柳沢正史氏による受賞理由発表では、「噴霧するだけで微小がん細胞を可視化する蛍光プローブの開発により、術中迅速がんイメージング技術という化学と医療の新たな融合領域を開拓した点」などが受賞理由として挙げられました。ただし、最終選考では誰が受賞してもおかしくない状況のなか、「臨床応用が見通せるか」といった将来の発展性などを厳正に議論した結果の選考であったことも明らかにされました。



 これを受けた浦野氏の受賞者挨拶では、審査委員や研究スタッフ、家族などへの謝辞に加え、「第1回受賞者になれるチャンスなんて、めったにあることではありませんから、このタイミングで受賞できるように産んでくれた両親に感謝したい。化学分野を選んでいただいたことにも感謝したい」とコメントされました。

 次いで45歳未満の若手日本人研究者を受賞対象とした「Young Investigator賞(Y.I.賞)」受賞者である大阪大学大学院医学系研究科教授の武部貴則氏、東京大学先端科学技術研究センター准教授の太田禎生氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の加藤英明氏が順次一人ずつ登壇し、トロフィーと賞金500万円・研究費(5年間4000万円)の目録などの授与と受賞者プレゼンテーションが行われました。


武部氏
太田氏
加藤氏

 各プレゼンの内容は、研究の独創性や新規性、社会へのインパクトにあふれたものばかりで、山之内さんも「だんだん前のめりになっていって、気がつくと食い入るようにスライドを見ていました」と高い関心を寄せていました。

 また、授賞式には次代を担う神戸市や近隣の高校生たち約50名も参加。代表者が受賞者それぞれに質問をしました。
 臓器移植の代替手法確立を目的とした「オルガノイド(幹細胞を培養して作る三次元構造体)」研究に端を発し、人間一人一人の医療・健康に向き合う「マイ・メディシン」の実現を目指す武部氏は、「長年、内臓疾患で苦しんでいる友人がいるのですが、オルガノイドを用いて楽で早期に治療できる方法が確立される可能性はありますか」という質問に対し、「明日、すぐにモデル化できるわけではありませんが、治療法が確立される可能性は十分にあると思います」と勇気づけるとともに、「自分に近しい人の問題は研究の強いモチベーションになるので、ぜひ自ら研究者になってほしいです」とエールを送っていました。



 大賞の浦野氏は、プレゼンで自身が高校時代の恩師から言われた「化学は絶対に憶えるな!」「原理原則で考えればわかるのが有機化学であり、記憶していたのでは新しいものは生み出せない」という言葉を現役高校生たちに伝えました。研究のアイデアはどのようにして生まれてくるのか、という質問に対しては、「実は失敗こそがすべてのアイデアのスタートです。予想外の実験結果というのは、今まで自分の頭の中にあった原理では説明できないことですが、必ずそれに代わる何らかの原理があります。しかも、そこに普遍的な原理が潜んでいることはとても多いので、失敗はスタートだと考えて、そこを追究していくことはとても重要なことです」と説明されました。



 また、今回は神戸賞アンバサダー 山之内すずさんと高校生との交流会も開催。未来の担い手である高校生たちが自身の将来の目標やこれから勉強したいことについて語り合いました。山之内さんも高校生たちの発言に感心しながら「みんなを見ていると日本は大丈夫と思える」とエールを送っていました。



 神戸賞授賞式後に第3部として行われた記念パーティーでは、受賞者や審査委員長、山之内さんらを交えた座談会も行われ、和気あいあいとした楽しい祝宴となりました。
一日を通して、神戸賞のコンセプトである「日本を元気にする」が見えてきたように思えました。

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