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2025年06月06日

お知らせ

第2回神戸賞授賞式を開催しました

2025年5月25日、神戸ポートピアホテル ポートピアホールで第2回神戸賞授賞式を開催しました。

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中谷財団では、2024年の財団設立40周年を機に、「BME (Bio Medical Engineering)分野 ~生命科学と理工学の融合境界領域~」でイノベーションをもたらす独創的かつ優れた研究で実績を挙げた研究者や、ユニークな研究で将来を嘱望される若手研究者に光を当てる新たな学術賞「神戸賞」を創設しました。

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第2回目となる今回は、「大賞」を東京大学大学院 理学系研究科教授の菅裕明氏が、45歳未満の若手研究者を対象とした「Young Investigator(Y.I.)賞」をブリティッシュコロンビア大学 バイオメディカルエンジニアリング学科教授の谷内江望氏、京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点教授の村川泰裕氏、東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所教授の神谷真子氏の3名が受賞しました。

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授賞式は、はじめに神戸賞の理念である「日本を元気にする」のステートメントを神戸賞アンバサダー・山之内すずさん(神戸市出身)が朗読。トランペット奏者の広瀬未来さんによるジャズの名曲『スマイル』の生演奏で開幕しました。日本ジャズ発祥の地であり、日本と海外をつなぐ玄関口として進取の気質と文化を発展させてきた「神戸」の名を冠する学術賞にちなんだ、華やかなオープニングとなりました。

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当財団理事長・矢冨裕の挨拶、神戸大学学長・藤澤正人氏の来賓祝辞に続き、Y.I.賞を受賞した3名が万雷の拍手に迎えられて登壇。山之内さんと、第1回神戸賞大賞受賞者である東京大学大学院薬学系研究科・同医学系研究科教授の浦野泰照氏からトロフィーが、当財団専務理事・家次恒から表彰盾と賞金目録が贈られました。


神戸賞審査委員長である筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授の柳沢正史氏による受賞理由発表では、候補者によるディスカッション形式というY.I.賞のユニークな最終審査方法の説明や、時間を忘れさせるほど充実したディスカッションになったことなど、審査の過程が説明されました。

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受賞者挨拶では、3名の受賞者が家族や研究室の仲間、共同研究者などへの感謝を述べると同時に、「自分の研究が認めてもらえたということが、今後の大きな心の支えになります」と異口同音に受賞の喜びを口にしていました。

続く大賞の授賞式では会場から光の道を通り菅裕明氏が登壇し、トロフィーと賞金目録が贈られました。受賞者挨拶では、「私の研究は独創的すぎて異端と言われていましたが、“異端”は認められた瞬間に“先端”に変わります。異端のみが先端になることができるのです」と、神戸賞の重要な審査基準である独創性の大切さを力強く語ってくださいました。

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休憩を挟んで行われた受賞者プレゼンテーションでは、それぞれに独創的でありながら、生命現象の解明や医学・創薬分野などの発展に大きなインパクトを与えうる将来性ある研究内容を発表していただきました。

授賞式には、学校の部活動や大学主催の次世代理系人材育成プログラムに参加して自らも研究活動を行っている中学生・高校生たち約30名も参加。各受賞者のプレゼン後には代表者がそれぞれ質問をしました。研究内容を理解したうえで、社会実装への今後の課題を問う高度な質問で会場中を唸らせる生徒がいたほか、自分たちが研究を進めるうえでのアドバイスを求めるような質問もありました。

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授賞式の後は神戸の街を一望できる16階のラウンジで交流会の「神戸賞サロン」が開催されました。受賞者に加えて山之内さん、柳沢氏が登壇してのトークセッションでは、谷内江氏が第1回Y.I.賞受賞者である武部貴則氏、太田禎生氏、加藤英明氏と食事に行って受賞を祝われたという事実を告白。山之内さんが「研究者って色々なところでつながっているんですね」と感心すると、柳沢氏は「初対面でも、研究内容を知っていると初めて会った気がしないので、すぐに打ち解けられます」と答え、受賞者一同も大きくうなずいていました。

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受賞者が各自の研究成果パネルの前に分かれて行われたフリーセッションでも、積極的に質問をする中高校生たちの姿が見られました。「聞きたいことがあったら、気軽にメールしてね」と言われ、緊張の面持ちで名刺交換をする生徒や受賞者と記念撮影をする生徒、PCRの不正確性を利用したミューテーション(突然変異)について質問をする生徒もいて、和気あいあいとしながらも学術賞にふさわしい雰囲気に包まれました。

受賞者たちから「自分の研究で教科書が書き換わるかもしれないと思うと、楽しくなってこない?」「僕もよく興味が目移りするけど、そのなかでも『やっぱりこれがおもしろい』と思う研究は出てくるものだよ」などと気さくにアドバイスされた中高校生たちの目は、さらに輝きを増していました。


第一線の研究者が次代を担う研究者の卵たちにエールを送る姿からは、神戸賞の理念である「日本を元気にする」の端緒が実際に見えてくるようで、充実した授賞式の一日を締めくくるのにふさわしい光景となりました。